片頭痛

頭痛イメージ

片頭痛の有病率は高く、比較的若年の患者も多いため、その社会経済的な損失は非常に大きいと言われています。

当院では片頭痛に対する最新の治療を積極的に取り入れており、抗CGRP抗体薬と呼ばれる皮下注射薬【エムガルティ®(ガルカネズマブ)/アジョビ®(フレマネズマブ)】や、CGRP受容体拮抗薬と呼ばれる内服薬【ナルティーク(リメゲパント)】を導入しています。
これらは片頭痛の痛みに深く関わるCGRPの働きを狙って抑える、新しいタイプの治療です。皮下注射薬は月1回の投与で続けやすく、内服薬は発作時治療と予防の両方に用いられるものもあります。
これまでの予防薬や痛み止めと比較してもその効果は非常に高く、生活の質(QOL)の向上やお仕事・勉学の生産性の上昇が非常に大きく期待できます。
新しい仕組みのお薬ですので、薬価は少し高くなりますが、試してみる価値は十分にあると考えます。

【皮下注射薬】抗CGRP抗体薬とは

これまでは、NSAIDsといわれる一般的な頭痛薬、トリプタン製剤、カルシウム拮抗薬などを症状が出始めてから服用、または予防として内服をしたりしていましたが、片頭痛の仕組みは脳にある三叉神経にCGRP(calcitonin gene related peptide)などの物質が集まり、炎症を引き起こすものと考えられ、これを抑える薬が開発されました。それが抗CGRP抗体薬です。

この薬を投与することで、発症の入り口をとめるため発作の抑制に劇的な効果がみられています。

当院では、エムガルティ®(ガルカネズマブ)/アジョビ®(フレマネズマブ)を導入し、治療を行っています。効果は非常に高く、生活の質(QOL)があがって患者様も喜ばれています。

グラフ:抗CGRP抗体薬投与後の発作回数

このグラフは当科での連続5人の平均発作回数を表しています。縦軸が月の発作回数で横軸が初回投与後の経過月数です。【皮下注射薬】抗CGRP抗体薬投与後は図のように発作回数が減少し、安定しています。(月1回投与は継続)

注射一本あたり約4万円(保険適応が3割負担だと約1万2千円、他診察料別途)と高額なため、使用については患者様と相談のうえ、費用対効果を見極めて投与を行っています。

症例

<症例1> 50歳 女性

【主訴】
頭が痛いのが続く
【既往歴】
微熱、倦怠感、うつ病、婦人科がん、リンパ浮腫、大腸ポリープ
【現病歴】
頭痛は毎日、強い時もあれば弱い時もあるが、ずっと続いている
【服薬歴】
五苓散、リザトリプタン
【診断/治療】
片頭痛
頭痛薬、トリプタン製剤の内服治療でも改善乏しく、【皮下注射薬】抗CGRP抗体薬の投与をおこなう
【経過】
抗CGRP抗体関連薬開始。頭痛回数が30回/月であったが翌月は12回/月、3か月後10回/月、1年後5回/月、2年後3回/月と減少し安定する。
また、頻度だけではなく、強さも軽減している。
症例グラフ:抗CGRP抗体薬投与後の発作回数:50歳女性

<症例2> 37歳 男性

【主訴】
頭痛
【既往歴】
片頭痛 左慢性中耳炎 胆石症
【現病歴】
中学生のころから頭痛がある。週に3回~毎日。バスで柔軟剤の香りのする時は発作を起こす。内服薬をスマトリプタンからゾルミトリプタンに変更し、バルプロ酸を予防薬(内服)としても使っていた。当院に転居のため紹介。
【現症】
月に15~26回は片頭痛発作がある。来院時も痛みでつらそうにしている。内服薬のトリプタン製剤はあまり効果みられず。
【診断/治療経過】
片頭痛
トリプタン製剤内服の効果は小さく、【皮下注射薬】抗CGRP抗体薬を投与開始。投与月には発作が10回程に半減し、さらに翌月5回とまた半減して発作回数は減少していっている。
症例グラフ:抗CGRP抗体薬投与後の発作回数:37歳男性

【費用について】(3割負担の場合)

※薬価については以下の通りです。

エムガルティ®(ガルカネズマブ)

投与方法:
皮下注射
接種間隔(目安):
初回/240mg(120mg×2本)、
2回目以降/1か月ごとに120mg(1本)を上記方法にて投与。
初回(2本) 25,600円
2回目以降(1本) 12,800円

※診察料等は別途、自己負担割合により変わります。薬価は改定される場合があります。

アジョビ®(フレマネズマブ)

投与方法:
皮下注射
接種間隔(目安):
4週間(1か月)に1回 225mg(1本)または
12週間(3か月)に1回 675mg(225mg×3本)を上記方法にて投与。
月1回(1本) 11,800円
3か月ごと(3本) 35,400円

※診察料等は別途、自己負担割合により変わります。薬価は改定される場合があります。

ナルティーク(リメゲパント)

投与方法:
内服
急性期治療:
片頭痛発作時に1回75mg(1錠)を内服
発症抑制:
75mgを隔日で内服(※1日総量は75mgを超えない)
1錠あたり 900円
予防で隔日内服(30日で15錠程度)の場合 13,500円

※診察料等は別途、自己負担割合により変わります。薬価は改定される場合があります。